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地方銀行ではほぼ全行で成果なし

貸出金の残高や利回り、与信費用が集中改善期間においてどう変化したかをみるために、地方銀行六四行の二〇〇二年度決算(集中改善期問開始時点)と二〇〇四年度決算(集中改善期間終了時点)の数値を比較した。地方銀行を対象に、横軸に貸出金末残の伸び率をとり、縦軸に貸出金利息の伸び率をとったグラフである。菱形のマークは同期間の与信費用が減少した地方銀行を表し、正方形のマークは同期間の与信費用が増加した地方銀行を表す。なお、西日本シティ銀行は集中改善期間中の合併により生まれた銀行であり、正確なデータが捕捉しきれないため除外した。

リレバン機能強化の取組みで成果が上がっていれば、菱形マークが右上の象限にのるはずだ。しかし、該当するのは六三行中わずか四行だけである。それぞれの実績について、もう少し詳しく検証しよう。どの地域金融機関も個人ローンにも力を入れている。A、B、C、D以外の五九行は、個人ローンを含めたとしても、財務上の成果が上かっていないことになる。金融庁はリレバン機能強化の取組みについてに一定の評価をしているが、地方銀行に関してリレバン機能強化の成果をみると、合格者はわずか一行ということになる。現場でも優秀な行職員が住宅ローンセンターに業者工作要員として駆り出され、その一方でほとんどすべての営業店が住宅ローンの高い目標を設定されていたから、このような結果になるのも頷ける。

地域金融機関はこれまで間違いなく個人ローンに経営資源を集中配分してきた。しかし、リレバン機能強化の観点からは、もう少しストイックな稼ぎ方で株主満足を達成する必要がなかったか。それがこの集中改善期間だったのではなかったか。個人ローンを伸ばすだけではなく、創業間もない中小企業に対しては担保や保証に依存しない融資に取り組み貸出残高を仲ばす、業歴のある中小企業に対しては正常先・非正常先に関係なく適正プライシングを推進し、事業再生を要する中小企業に対してはランクアップに果敢に取り組み与信費用を削減する必要があったのだ。

こうしたリレバン機能強化の取組みは個人ローン推進に比べて格段にむずかしい。そのうえ、リレバン機能強化はさして業績評価の対象にもならない。だから、まずは取り組みやすい、結果の出やすいところから手をつけた。株主を満足させるための合理的な方法ともいえる。現場の最大の使命はリレバン機能強化ではなく、株主満足の達成にあったのかもしれない。金融庁から要請されたリレバン機能強化は本部担当が推進するにとどまり、現場の積極的な関与もなく、期待された結果も出なかった。これが集中改善期間における地域金融機関の偽らざる姿であろう。