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リレバンは財務データに成果をもたらす

リレバン機能強化は地域金融機関の財務に影響を与える。二〇〇三年三月二七日公表の「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」に、リレバン機能強化の必要性について「中小・地域金融機関の実態はリレーションシップバンキング本来のあり方から乖離している面があり、中小・地域金融機関の経営状況を見ると、収益力の低下、財務体力の低下が著しい状況にある」との記述がある。このことは「リレバンの本来のあり方に立ち戻れば、収益力や財務体力は向上する」といっているに等しく、「リレバン機能強化は収益力や財務体力の改善をもたらすことが期待される」との解釈も昨能である。

さらにリレバン機能強化は二つの柱として、中小企業金融再生に向けた取組みと健全性確保、収益件向上等に向けた取組みを求めていたが、これらも、結果として中小企業向け融資のボリューム拡人や利回りの改善につながるものが少なくない。創業支援においては、担保や保証が不十分であっても、目利きを活用することでいままで貸せなかったところに貸せるようになる。最も層の厚い成長期・安定期企業に対しては、信用リスクに応じた金利設定を行うことで利回りの改善が期待できる。事業再生は、ランクアップを通じて貸せない先が減少することでボリューム拡大が見込まれる。

さらにDTIPファイナンスなど新しい金融手法での資金供給も可能になる。不良債権問題という視点でも、同じことがいえる。たしかに地域金融機関にとって不良債権は悩ましい問題である。秋田県や大阪府などでは企業倒産件数の事業所数に占める割合が高く、不良債権のストックそのものが減りにくいという地域特性を有する。不良債権比率を下げようがない。しかしながら、こうした地域の地域金融機関でも引当金を積み上げることで、不良債権のカバーは実質的に可能であり、どんなに厳しいマーケットにおいても、健全性の維持は可能である。

また、地域金融機関は、大予行のように不良債権をバランスシートから切り離すことは簡単にはできないが、高水準の引当金積上げを前提に、地道なランクアップに取り組むことにより、いったんは積み上げた引当金の取崩しなどでフローベースの与信費用を減少させることができるはずだ。つまり、リレバン機能強化における事業再生は、ストックである不良債権比率の推移などによる単純比較は地域特性からむずかしいが、フローである与信費用の削減によって、どの地域金融機関でも損益計算書上収益改善につながっていくと考えられる。したがって、リレバン機能強化の取組みは、貸出金の残高増や利回り改善、ケ信費用の削減による財務上の成果をもたらすといえる。