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リテール戦略 の個人ローンビジネスや預かり資産ビジネス

多くの地域金融機関は家計から稼げない資金利益をかんがみ、預かり資産営業強化にシフトしている。家計の資金余剰額はフローベースでは鈍化しているものの、いぜんプラスの水準であり、一四〇〇兆円のストックを有するマーケットである。「事業性も消費性も資金需要は乏しいから、預かり資産で収益力を強化しよう」という試みは理解できる。しかし、またも期待は裏切られる。保険・年金準備金は家計でみれば保険料の払込みととらえることができるが、過去四半世紀で最低の水準を示している。二〇〇二年度は二兆円近くの解約超である。はやりの保険の見直しによる保険料削減効果もあるかもしれない。

それにしても、同年の住宅資金需要も減少していることから、日本の家計は二〇〇二年度に保険を解約してまで住宅ローンを返済したのではないかと疑いたくもなる。生活の保障をあきらめてまで金利を銀行に払いたくないものかと、ため息も漏れる。投資信託受益証券の推移は日本の株式指標と似た動きで推移している。株式市場が好調ならば増え、不振であれば減少する傾向がある。相場が好調であれば収益源として機能するように思われるが、安定的な収益源としては心許ないのではないか。

二〇〇四年度は四兆円近くの資金を家計が投資信託に向けたということや、毎月分配型投資信託のバブルとも思われるような売行きをみるにつけ、投資信託に期待したいのもわかるが、相場が悪ければすぐに剥落してしまう収益源にすぎない。外債相場の急落で投信販売が不振になり、販売手数料や信託報酬の急減などから赤字決算となるということもありうるのではないか。いまいいからといって投資信託で苦難を乗り越えようとする戦略はお勧めできない。足下相場のよい投資信託を除けば、完全に八方塞がりだ。これが低成長時代というものなのだろうか。低成長時代には地域金融機関に限らず、銀行業は収益機会を失う運命にあるようにすら思われる。