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リレバンこそ金融庁発のビジネスモデル変革指令

地域金融機関ではガバナンスにおいて大手行並みの進展がみられなかったことも問題を引き起こした。結果として、未上場の一部のオーナー系第二地方銀行で暴走が発生した。自己資本比率が四%を下回らなければつぶれないというルールのなかで、常軌を逸した手法での増資が繰り返されてしまったのだ。十分な説明もなされないまま、預金を出資に振り替えるというものである。そのような行動をもたらしたもともとの原因はオーナー頭取の独断による地域外の問題先への情実融資であった。オーナー系第二地方銀行のなかには県外貸出比率が五〇%を超えるところもあった。そもそも地域金融機関という姿ではなかったのだ。

こうした地域金融機関の行員が退職後に内部告発した本からは、風通しの悪さがいたるところにみてとれる。悪あがきの末、結局は破綻していったが、金融庁の地域金融機関に対する印象を悪くするという結果をもたらした。すなわち「地域金融機関は大手行と異なり、ガバナンスが弱く、市場からの規律づけが働きにくく、自己資本比率のみでの監督は不可能である」と。すぐに「事務ガイドライン」の修正で増資に関して厳しいルールが設定され、旧アクションプログラムのなかでも、未上場の地方銀行や協同組織金融機関に対して、情報開示の充実と総代会の機能向上策が求められた。またオーナー経営者などの暴走を防ぐために経営者に金融庁から直接的なヒアリングも行われるようになった。

地域金融機関は、変わらなかった結果として、収益性を失い、ガバナンスについて金融庁からあらぬ嫌疑をかけられることになったのだ。ただし、「変われ」といわれても、地域金融機関は大手行と同じようには変わることができない事情がある。不良債権のオフバランス化には限界があったり、地方銀行の株式がアナリストレポートの対象になっていないなどの制約の多さからガバナンス強化そのものに徒労感が伴ったりするからだ。そんな袋小路に迷い込んだ地域金融機関に対し、「金融検査マニュアル」が制定されて以後、金融庁は手取り足取り指導してくれることはなくなっている。「変われ。ついては変わり方も地域金融機関が独力で考えろ」という趣旨なのだろうか。そうではない。

実はリレバン機能強化は地域金融機関が変わるためのロードマップの役割を果たしている。この時代に金融庁が珍しくロードマップを渡し、行政介入ぎりぎりで背中を押したように思えた。その証拠は随所にみられる。まず、リレバンそのものが地域金融機関を適切な担い手としたビジネスモデルとされている点だ。リレバンを抽象的な理念とかスローガンではなく、具体的なビジネスモデルそのものといっているのである。ビジネスモデルとは「儲けを生み出す具体的な仕組みのこと」すなわち「事業運営」を指す。要は「地域金融機関はリレバンによって事業運営をすべきだが、いまは不十分である」とされているのだ。