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中小企業金融再生に向けた取組み

二〇〇二年一〇月公表の「金融再生プログラム」において、人手行は二〇〇五年三月末までに不良債権比率を半減するという目標を設定された。地域金融機関に同様の目標を設定することは困難との意見から、不良債権比率の半減にかわるものとして、二〇〇三年三月二八日公表の「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(以下、旧アクションプログラム)に基づき、中小企業金融再生に向けた取組みや健全性確保、収益性向上等に向けた取組み(=リレーションシップバンキングの機能強化を確実に図ること)を二〇〇三年度から二〇〇五年度末までの集中改善期間中に行うことが求められていた。

そして二〇〇五年三月末日をもってこの集中改善期間は終了した。現在は二〇〇五年三月二九日公表の「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成一七~一八年度)」(以下、新アクションプログラム)に移行し、二〇〇五年度と二〇〇六年度はそれに基づいた重点強化期間と位置づけられている。大手行が二〇〇五年三月期の不良債権比率半減をみごとに達成したことは明るい話題として取り上げられ、「日本の金融は平時に戻った」といった内容の記事が新聞や雑誌をにぎわした。大手行は「リストラ・再編→バランスシート切離しによる不良債権の最終処理」という手順で苦境を乗り越えてきた。

それを受け、「大手行の問題は片付いたから次は地域金融機関だ」とばかりに、地域金融機関にも同じような再生手法を望む世論も高まりつつある。金融庁は集中改善期間における地域金融機関の動きをどうみたか。各地域金融機関から金融庁宛に提出される、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況についての二〇〇四年度下期までの報告を待つことなく、金融庁側は、二〇〇五年三月二八日公表の「『リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム』の実績等の評価等に関する議論の整理」(座長メモ)」や同月二九日公表の「『地域密着型金融の機能強化の推進に間するアクションプログラム(平成一七~一八年度)』の経緯等」で見解を述べている。

それらによると、まずは「現行アクションプログラムの策定により、中小・地域金融機関が地域において自ら果たすべき役割を再認識できた」とみているようだ。加えて「融資姿勢や支援に向けた取組み状況は改善」「地域密着型金融(リレーションシップバンキングと同義。新アクションプログラムから言い換えられている)を推進するための基本的な態勢の整備は進捗」とし、「『集中改善期間』を通じた金融機関の取組みについては一定の評価」ができるとしている。

その一方で、不十分と考えられる点として、地域密着型金融の推進について対応の遅れている金融機関の存在、財務リストラ止りの事業再生、「目利き」能力不足、融資判断における財務データや担保力への偏重があげられたうえで、「地域密着型金融の取組みが浸透しているとはいい難い」と手厳しい意見も述べられている。なかでも不十分と考えられる点の冒頭に登場する「地域密着型金融の本質が必ずしも金融機関に正しく理解されていない場合も見受けられる」という指摘は耳が痛い。「本質を理解しないままで集中改善期間を過ごしてしまった」といわれているに等しい。金融庁側の評価を一言でまとめると「前進するも途半ば」といったところだろうか。